雨楽な家BLOGBLOG
いぶし瓦を軽やかに葺いてスタイリッシュに
青空に映えるオシャレな外観フォルム。まるで重力が消えたような軽快な「雨楽な家」。壁面よりガラスの面積の方が広く見えるうえに、玄関庇の赤い鉄骨が、この家の透明感を助長しているのかもしれません。
室内には無垢の桧の筋交いが構造美をあらわし、日本古来の真壁の家の魅力が詰まっているというのに、この軽やかさ。1階の外壁は無機質なガルバリウム鋼板。ブラックサッシも重くなく、木の質感と調和しています。
この軽やかな家の屋根に「いぶし瓦」が載っているなんてビックリですね。軒先には万十(まんじゅう)と呼ばれる丸い形の軒瓦が見えます。今回のテーマは屋根瓦です。
瓦は、耐久性、耐水性、耐火性、断熱性などをあわせ持つ優れた建築材料。適度に吸放湿性もあり、温暖多湿の日本の気候風土に最適の屋根材です。
瓦は良質の粘土を成形し高温で焼き上げてつくられます。釉薬瓦は瓦の表面に釉薬をかけて多彩な色に仕上げますが、いぶし瓦は焼成の最終段階で瓦をいぶし、表面に炭素の皮膜をつくります。
瓦の三大産地は、三州、淡路、石州。
三州瓦は愛知県西三河地方の瓦で、耐火性に優れ凍害に強いのが特長です。
淡路瓦の発祥は飛鳥時代といわれ焼成温度が低く粒子の細かい瓦です。
石州瓦は出雲の来待石からとれる釉薬を用いた赤瓦で有名です。
瓦は土に還る無公害の自然素材。灼熱の太陽、凍てつく寒気、風に舞う砂塵、潮風、酸性雨、台風、積雪などの自然の猛威にさらされながらも、高い耐久性を発揮し、私たちの暮らしを守り続けてくれます。
深みのあるいぶし瓦は、光の角度により、灰色、黒色、銀色、時には虹色に変化します。いぶし銀といわれるように、優美にして荘厳、繊細にして素朴。端正な瓦屋根は日本建築の象徴です。
「雨楽な家」では洗練された数寄屋の味わいを活かし、鬼瓦を使わず軽く仕上げるのがポイント。
いぶし瓦は和のイメージがありますが、その高いデザイン性から、和でも洋でもなく、
シンプルモダンな自然素材の家によく似合います。