雨楽な家BLOGBLOG
伝統色の和紙で住空間に彩りを
日本の紙幣の原料は何でしょうか。本やコピー用紙などの「洋紙」は、木材などから繊維を抽出した「パルプ」が原料ですが、日本の紙幣には「三椏(ミツマタ)」や「マニラ麻」などの植物繊維から作られる「和紙」が使われています。
洋紙と比べ、和紙の繊維は長くて強いので、日本の紙幣をうっかりシャツのポケットに入れたまま洗濯機にかけてしまっても、破れることはありません。和紙は洋紙よりはるかに丈夫です。
和紙は1300年以上の歴史をもつ日本の伝統工芸。「雨楽な家」の内壁には漆喰を塗るか、または和紙を貼ります。そのほか、伝統色の和紙を建具に貼ります。
こちらのリビング収納の建具に用いたのは朱色の和紙。自然素材のリビングにエネルギッシュな彩りがプラスされました。
こちらのお宅では和室の押入の建具に、おちついた鉄色の和紙を貼りました。地窓から入る障子越しの光が優しく和室に広がります。障子は日光の直射をさえぎり、半分ほどの光を透過させ、柔らかく拡散させて、部屋全体を均等に明るくします。
断熱性や調湿性に優れた和紙は、自然の空調機能をも持っています。細い木の桟と白い和紙の織りなす幾何学的な美しさは、空間を引き締め、豊かな情感をかもし出します。
小説家の谷崎潤一郎は「陰翳礼讃」で、和紙の魅力を書きました。「西洋紙の肌は光線をはね返すような趣があるが、和紙の肌は柔らかい初雪のように、ふっくらと光線を中へ吸い取る。そうして手ざわりがしなやかであり、折っても畳んでも音を立てない。それは木の葉に触れているのと同じように物静かで、しっとりとしている」
こちらのお宅では土間と和室の建具に、菜の花色の和紙を貼りました。日本の伝統色に彩られた室内は、菜の花畑のようにあでやかです。
和紙にはふんわりと温もりのある自然の美しさや強さのほか、ビニールクロスにはない優れた機能があります。光の乱反射による調光力。繊維の隙間の空気層による保温力。そして、色づかいを楽しめるのも魅力です。
和紙は素朴で繊細優美。上品で豊かな表情を魅せてくれます。世界で愛されている和紙を新しい感覚で住まいに採り入れて、日本の伝統工芸を日々楽しんでみませんか。