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2025.11.19

ひろしま国際建築祭2025

皆様は、建築界のノーベル賞と言われている「プリツカー賞」はご存じでしょうか。
そのプリツカ―賞に、建築家・山本理顕氏が2024年受賞し、以後、日本では現在まで
8組の建築家が受賞しました。これはアメリカと並び世界最多受賞国となりました。
なぜここまで高い評価を受けるのか、それは常に世界の建築界をリードする設計手法や
構造とデザインの関係性の探求を行っている点だと言われています。

 

広島にも、その著名な建築家が手掛けた作品が数多くあります。
建築を通じて未来の街を創造し、子どもの感性を磨き、地域を活性化させ、地域の「名建築」を未来へ残すことをミッションとして「ひろしま国際建築祭」が2025年10月4日にスタートしました。
この建築祭は、3年に一度開催され、初回となる2025年は、広島県の福山市・尾道市にある7つの会場を中心に8つの建築にまつわる展示を11月30日まで行われます。
「つなぐ―『建築』で感じる、私たちの“新しい未来”」をテーマに世界的に活躍する建築家や未来を担う建築家・作家まで総勢23組が模型や映像、インスタレーションなどを通じて建築の文化が紹介されています。

ひろしま国際建築祭2025

建築祭の会場の一つである、広島県福山市の神勝寺に行ってきました。
正式には「天心山神勝寺」といい、臨済宗建仁寺派の特例地寺院です。
特に「神勝寺 禅と庭のミュージアム」として知られ、禅の世界を
五感で体験できる場所として注目されています。
7万坪の広大な敷地の中に、歴史的建造物と現代建築、美しい庭園が点在する
ユニークな施設です。中でも注目すべきは2つの現代建築です。

 

ひろしま国際建築祭2025

「松堂」(建築家・藤森照信氏の作品)
神勝寺の総門をくぐると現れるのが、受付・寺務所棟として建てられた「松堂」。
三角屋根の上に松の木が立っているユニークな建物です。
近隣の木材を活用したり、藁を練り込んだ外壁で自然との一体感が感じられる建物です。

ひろしま国際建築祭2025

ひろしま国際建築祭2025

アートパビリオン「洸庭」
(彫刻家・名和晃平氏とクリエイティブプラットフォーム「SANDWICH」による作品)
舟をイメージしており、やわらかな曲線で構成された建物。錆石の庭の上に浮かぶように建っています。
内部空間は、暗闇の中で水面と光が揺らめくことで、光と向き合い、瞑想的な体験ができます。

ひろしま国際建築祭2025

さらに進むと、神勝寺の本堂無明院に到着します。
本堂の枯山水庭園「無明の庭」は、白砂で表現された大海と、そこに配された岩や植栽が遠く瀬戸内海を借景として取り入れ、禅の「わびさび」の美意識が表現されています。

 

ひろしま国際建築祭2025

普段は一般の人が立ち入ることのできない庭の中に期間限定で設置されたのが、「移動型キオスク つぼや」(建築家・堀部安嗣氏/企業協賛・ウッドワン)。
日本の伝統的な大工職人の手仕事と桧の無垢材(吉野桧)で組み上げられた作品です。

 

この「移動型キオスク」は、ひろしま国際建築祭の「小さな建築プロジェクト」として計画されたもので、いろんなタイプの移動型キオスクが建築祭ごとに設置され増えていきます。第3回の建築祭(2031年)では、2025年、2028年の2回分のキオスクを加えて、「キオスクマルシェ」も計画されているようです。

ひろしま国際建築祭2025

ひろしま国際建築祭2025

 

今回の建築祭によって、身近にありながらこれまで訪れることのなかった
建物や自然に触れることができ本当に良かったと感じています。
3年毎に開催される建築祭に今後も期待したいと思います。

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