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2024.08.28

現代の仏壇事情~どうする?古くて大きな仏壇~

地元紙が発行する情報紙に、「仏壇」に関する記事が載っていました。
「両親が実家で大切にしている仏壇。将来、移動や縮小を考えているけど、どうすればいいの?」という読者の問いに、大手仏壇店が「いつか受け継いだときに困らないように、かかりつけ仏壇店を持っておこう」と回答。相談できるお店があることが心の平穏につながるはず、とのこと。

 

記事を読んで、わが実家の仏壇が心配になりました。

仏壇

傘寿を超えた両親が暮らす私の実家にも、大きな仏壇があります。
私の出身地は仏壇の産地。仏壇製造に従事する職人が多く、私の母も箔押師でした。
実家で暮らしていた頃は身近な存在の仏壇でしたが、実家を出てからは、
帰省時に手を合わせてお経をあげるくらいです。
遠方に暮らす私がその仏壇を継承する、となったらどうでしょう。
大きすぎて私の住まいには持ち込めず、母が勤めていた仏壇店は廃業し、相談する当てもありません。

 

この手の話は両親が嫌がる気がして避けてきましたが、意を決して、
冒頭の記事の話をしながら、サラッと聞いてみました。
私「かかりつけの仏壇店って、ある?」
父「ないなぁ。買うた店は廃業したし、他の店いうても知らんなぁ」
と、あまりピンときていない様子。
どうやら自分の代で仏壇をどうこうする気はないのだな、ということだけははっきりしました。
両親が気にしていないようなので、まずは私自身の意見をまとめてみました。

 

将来、私が継承することになった場合、現実的なのは「古い仏壇は処分し、小サイズ仏壇に買い換える」こと。
まずは事前に、仏壇のご先祖様に移動していただく儀式・供養を、菩提寺に依頼します。その後、
近隣の仏壇店や不用品回収業者に依頼するか、自力解体して分別しゴミ回収日に出す、
ネットオークションに出品する、などの方法が考えられます。

 

そして「買い換え・処分」以外にもうひとつ、「縮小リメイク」という方法があることを知りました。

 

仏壇は何人もの職人さんたちの匠の技によって造られています。
木地師、彫師、塗師、蒔絵師、蝋色師、箔押師、錺師、彫金師、彩色師、
そしてすべての部品を組み立てる、仕立て職人。
分業で作業が行われ、さまざまな工程を経て完成します。

 

わが実家の仏壇だって、職人技の結集した伝統工芸品です。
すべてをゴミにしてしまうのは忍びない…そう思いました。

「縮小リメイク」は、もとの仏壇から木取りを行い、サイズダウンした部品に加工して
新しく組み立てる特注品。住宅事情に合わせたサイズ・デザインに仕上がります。
もとの意匠をそのままに、小さく復元することもできるようです。

 

ぜひ利用してみたい! 今後、両親から相談されることがあったら、私は
「縮小リメイク」を勧めようと思います。近隣店にお願いすれば、その後も相談に応じてくれる
「かかりつけ」になってくれるはず。買い換えるほうが手間なく安くすむかもしれませんが、
「縮小リメイク」は予算などの折り合いさえ付けば、満足度は高いと思います。
代々受け継がれてきた仏壇なら、なおさらではないでしょうか。

 

仏壇

地元紙に取り上げられた記事が、仏壇のことを考えるいいきっかけになりました。情報を集めたり自分の意見をまとめて私なりの心構えや覚悟ができたことで、「なんとなく不安」な気持ちがなくなり、心の平穏につながりました。

 

…実はわが実家の懸案は仏壇だけではありません。庭にお稲荷さんがいらっしゃるのです。罰当たりなことにならないよう、私の今後の課題にしたいと思います。またの機会に。

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