雨楽な家BLOGBLOG
現代の仏壇事情~どうする?古くて大きな仏壇~
地元紙が発行する情報紙に、「仏壇」に関する記事が載っていました。
「両親が実家で大切にしている仏壇。将来、移動や縮小を考えているけど、どうすればいいの?」という読者の問いに、大手仏壇店が「いつか受け継いだときに困らないように、かかりつけ仏壇店を持っておこう」と回答。相談できるお店があることが心の平穏につながるはず、とのこと。
記事を読んで、わが実家の仏壇が心配になりました。
傘寿を超えた両親が暮らす私の実家にも、大きな仏壇があります。
私の出身地は仏壇の産地。仏壇製造に従事する職人が多く、私の母も箔押師でした。
実家で暮らしていた頃は身近な存在の仏壇でしたが、実家を出てからは、
帰省時に手を合わせてお経をあげるくらいです。
遠方に暮らす私がその仏壇を継承する、となったらどうでしょう。
大きすぎて私の住まいには持ち込めず、母が勤めていた仏壇店は廃業し、相談する当てもありません。
この手の話は両親が嫌がる気がして避けてきましたが、意を決して、
冒頭の記事の話をしながら、サラッと聞いてみました。
私「かかりつけの仏壇店って、ある?」
父「ないなぁ。買うた店は廃業したし、他の店いうても知らんなぁ」
と、あまりピンときていない様子。
どうやら自分の代で仏壇をどうこうする気はないのだな、ということだけははっきりしました。
両親が気にしていないようなので、まずは私自身の意見をまとめてみました。
将来、私が継承することになった場合、現実的なのは「古い仏壇は処分し、小サイズ仏壇に買い換える」こと。
まずは事前に、仏壇のご先祖様に移動していただく儀式・供養を、菩提寺に依頼します。その後、
近隣の仏壇店や不用品回収業者に依頼するか、自力解体して分別しゴミ回収日に出す、
ネットオークションに出品する、などの方法が考えられます。
そして「買い換え・処分」以外にもうひとつ、「縮小リメイク」という方法があることを知りました。
仏壇は何人もの職人さんたちの匠の技によって造られています。
木地師、彫師、塗師、蒔絵師、蝋色師、箔押師、錺師、彫金師、彩色師、
そしてすべての部品を組み立てる、仕立て職人。
分業で作業が行われ、さまざまな工程を経て完成します。
わが実家の仏壇だって、職人技の結集した伝統工芸品です。
すべてをゴミにしてしまうのは忍びない…そう思いました。
「縮小リメイク」は、もとの仏壇から木取りを行い、サイズダウンした部品に加工して
新しく組み立てる特注品。住宅事情に合わせたサイズ・デザインに仕上がります。
もとの意匠をそのままに、小さく復元することもできるようです。
ぜひ利用してみたい! 今後、両親から相談されることがあったら、私は
「縮小リメイク」を勧めようと思います。近隣店にお願いすれば、その後も相談に応じてくれる
「かかりつけ」になってくれるはず。買い換えるほうが手間なく安くすむかもしれませんが、
「縮小リメイク」は予算などの折り合いさえ付けば、満足度は高いと思います。
代々受け継がれてきた仏壇なら、なおさらではないでしょうか。