雨楽な家BLOGBLOG
1970年万博跡地は花と緑の丘
大阪・関西万博は10月13日で終わったというのに、万博ロスの人が多いようで、閉幕後も東京や大阪のオフィシャルストア約10店とオンラインストアが営業を続け、「ミャクミャク」グッズなどの売れ行きが好調とか。
公式グッズ販売のロイヤルティーは万博協会の収入にもなり、ストアの営業継続は協会の収益を押し上げる効果もあるそうで、終了時期は未定とか。さすが商魂たくましいですね。
そういう私も万博依存症の症状があり、55年前の1970年大阪万博跡地、吹田市の「万博記念公園」へ行きました。花の丘ではコスモスが秋風に揺れてフワフワ。というわけで、今回のテーマは、「1970年万博跡地は花と緑の丘」。
中央口を入るとマリーゴールドの花に縁取られた広場の中央で「太陽の塔」が迎えてくれます。高度経済成長期の日本を象徴する70年大阪万博のシンボルであり、「芸術は爆発だ!」と謳った芸術家、岡本太郎氏の代表作です。
当初は、万博閉幕後に解体される計画がありましたが、保存を求める声の高まりを受け、レガシーとなり、55年の時を経て2025年8月に国の重要文化財に指定され、塔を守った多くの人々の愛着が実を結びました。
「太陽の塔」は、頂部に未来を表す「黄金の顔」、正面に現在を表す「太陽の顔」、背面に過去を表す「黒い太陽」という3つの顔を持っています。鉄骨鉄筋コンクリート造で、高さは約70m、基底部の直径は約20m。片方だけで25mある「腕」は地面から支える柱がなく、構造的にも優れたバランスで設計された巨大建造物です。
塔の内部には、原生生物から人類に至るまでの生命の進化を表現したダイナミックな高さ41 mの「生命の樹」が展示され、耐震改修工事を経て、2018年から内部の公開が再開されています。「太陽の塔」はそのパワフルな存在感が、今なお人々を引き寄せ続けています。
上の画像は、70年大阪万博のシンボルゾーンであり、イベント会場であった「お祭り広場」の現在の風景です。右端に「太陽の塔」の背面が見えます。下の画像は背面のアップで、過去を表す「黒い太陽」です。
「お祭り広場の大屋根」は、建築家、丹下健三氏の代表作の一つで、その一部分が今も遺されています。鋼管を三角形に組んでつなげた立体トラス構造の大屋根は、東西108m、南北291mに及び、重さは約5000トン。これを6本の柱で支え、直下に3ヘクタールの広大なシンボルゾーン、「お祭り広場」を生み出しました。
「お祭り広場の大屋根」の上に頭を突き出す「太陽の塔」との強烈なコントラストが圧巻であり、今でも「高度経済成長期」の象徴的な画像として、70年大阪万博の「お祭り広場」がテレビなどでよく登場します。
70年大阪万博のテーマは、「人類の進歩と調和」。入場者数は全183日間で、6421万人。一日の平均入場者数は、35万人。会場面積は、330ヘクタール。入場料は大人800円でした。
一方、2025年大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。入場者数は全184日間で、2557万人。一日の平均入場者数は、15万人。会場面積は、155ヘクタール。入場料は大人7,500円でした。
70年大阪万博の閉幕から55年。跡地利用には「緑に包まれた文化公園」が採択され、「万博記念公園」となりました。各国パビリオン撤去後の約100ヘクタールには、豊かに成長した緑の森や花の丘などが広がり、人々の憩いの広場になっています。
こちらの画像は、花の丘に広がるコキアの紅葉です。コキアは、草姿が円錐形の整った形で、繊細な茎葉が密に茂り、さわやかな印象を与える春まき一年草。ホウキギの和名のとおり、刈り取って陰干しし、草ボウキをつくるのに利用されるとか。
コキアの隣の畑では、冒頭にご案内したコスモスが見頃を迎えていました。淡ピンクや濃ピンクの「センセーションミックス」のほか、鮮やかなイエローがまぶしいキバナコスモス、純白のコスモスなど、全部で5種類のコスモス約15万本がそよ風に揺れていました。
こちらは今年4月に万博記念公園で撮影したものです。上の画像は満開のサクラと、花壇にはネモフィラ、右の奥には横向きの「太陽の塔」の上半身が小さく見えます。
万博記念公園は、「太陽の塔」と桜の組み合わせを楽しめる桜の名所。園内には約12種、約5500本の桜が植えられ、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。3月中旬からヒガンザクラ、カンヒザクラが咲き始め、ソメイヨシノなどが園内をピンク色に染め上げます。
ネモフィラは北米原産の一年草で、澄んだブルーの花が愛らしく、かわいい花咲く瑠璃色の姿から、和名をルリカラクサ(瑠璃唐草)といいます。細かく切れ込んだ葉が密に茂り、自然に分枝して咲きながらこんもりとふくらむ姿が可憐です。
下の画像はチューリップの花園です。赤、白、黄、ピンクなど、35品種、約8万本の色とりどりのチューリップが一面に咲き誇っていました。チューリップのほかにも、菜の花やモモイロタンポポなど、春爛漫の風景を楽しめました。
70年大阪万博の跡地は、55年を経た今では緑豊かな森となり、季節の花々が咲き匂っています。
今年の2025年大阪・関西万博の跡地にはどんな歴史が刻まれ、どんな花が咲くのでしょうか。
今から楽しみに見守りたいと思います。









