雨楽な家 URAC MODERN雨楽な家 URAC MODERN

雨楽な家BLOGBLOG

こんにちは大阪万博・大屋根リング

行ってきました大阪・関西万博。1970年の大阪万博のときは〝鉄〟でできた建物が多かったように思いますが、2025年の今回の大阪万博は〝木〟でできた建物が圧倒的に多いことに感動しました。まさに「木の大阪万博」です。

東ゲートで約30分並び、手荷物検査とチケットチェックを終えると、大屋根リングへまっしぐら。「ワアッ、デカイ!」 想像していたよりスケールが大きくてビックリ。さすが「世界最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定されただけのことはありますね。というわけで、今回のテーマは、「こんにちは大阪万博・大屋根リング」。

大阪万博

大阪万博

修学旅行の中学生が大屋根リングを見学していましたが、その身長と比べてもスケールの大きさがわかるのでは。大屋根リングは高さ12~20m、幅30m、外径は675m。木材約2万7千立方メートルが使われているとか。

大屋根リングの全周は約2,025mで、建築面積が61,035.55㎡であることから、世界最大の木造建築物と認められ、2025年3月にギネス世界記録に認定されました。

太い木の柱がすっくと立ち、横架材が柱と柱をつなぎ、その線が直径675 mのゆるいカーブを描いて2,025mつづき、またここに戻ってくる。日本の建築文化の真髄である、木造軸組の強さと美しさをこれほどダイナミックに表した建築物を世界中の人々に示せるのはうれしいことです。

万博のシンボルである大屋根リングを設計したのは、会場デザインプロデューサーの藤本壮介さんです。大屋根は上空から見ると丸いリング型で、円の内側(高さ12m)から外側(高さ20~22m)に向かってせり上がる構造。大屋根の屋上はスカイウォーク。大屋根の下はグラウンドウォーク。世界中の人々が分断されず、共に自由に歩くことができる回遊路です。

大屋根リングをエレベーターで上がると、この画像の景色を見られます。2000年に「雨楽な家」のロフトに初めて昇ったときの感動がよみがえりました。木の柱と梁と垂木の三角形が目の前にあり、勾配天井が斜めにひろがり、木の香りが嗅覚を刺激します。

大屋根リングに使われた木材のうち、約70%は福島県や高知県などの国産のスギとヒノキであり、約30%は欧州アカマツなどの輸入材です。できることなら100%国産の木材を活用し、日本の林業の力を世界に示して欲しかったな、と思います。

リング一周2,025mなんて軽いもの、と思って屋上のスカイウォークをはじめたものの、下に見える各国パビリオンにも木がふんだんに活かされているのが気になって、また地上に降りてきました。

大阪万博

大阪万博

 

大阪万博

2つのうち上の画像は大屋根リングの屋上から眺めた風景。下の画像は日本館の外観で、実際はもっと横に長い建物です。政府が出展するパビリオン、日本館には事前予約をして入場しました。上空から見ると円形の建物で、直径約80m、円周約250m。今回の万博で最大のパビリオンです。

 

日本館のテーマは「循環」。展示内容は、微生物の働きでゴミから水や素材を生み出す仕組みや、光合成する藻類の活用、再利用を考えたものづくりなど。世界最大級の火星隕石(いんせき)「火星の石」や、JAXAの探査機が小惑星で採取した砂も展示されていました。

 

建物の最大の特徴は、内外壁に国産スギ材のCLT(直交集成板)パネルを耐力壁として円形に560枚並べていること。CLTパネルは再利用しやすい四角形をしていて、循環のテーマを円形の建物で示しています。

CLTとは、Cross Laminated Timberの略称で、日本ではJASの規格に基づいて「直交集成板」と呼ばれます。ラミナ(ひき板)を繊維方向が直交するように積層接着した木質材料で、厚みのある大きな板になるのが特徴です。

今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。大屋根リングは「多様でありながら、ひとつ」という、大阪万博の理念を表した会場のシンボルです。各パビリオンの入口は大屋根リングに向かって開いているので、リングは来場者の主動線になり、屋根があるため雨や日差しを遮ってくれて、木のベンチで休憩や軽食を楽しむこともできます。

 

リングの屋上からは会場を見渡せるほか、外に目を向ければ大阪湾を展望し、海にかかる夕陽を観賞することができます。大阪湾の上につくられた〝海の大阪万博〟であり、大きな木造建築を体感できる〝木の大阪万博〟です。

木材は地球にやさしい持続可能な素材。日本は資源の乏しい小さな国ですが、国土の3分の2は豊かな森林。木は自然の森で育つ過程で二酸化炭素を吸収し、木を伐った後で植林すれば、森林は再生されて好循環を生み出し、未来社会へとつながります。

 

世界中の人々が大阪・関西万博に集い、大屋根リングを共に歩き、争いのない平和な地球が未来へとつづくことを願っています。

記事一覧に戻る