市街地に活きる町家の知恵と工夫

「雨楽な家・町家」が愛知県と新潟県に建築中で3月末に完成します。2棟とも建築地は都市部で、中庭と「通り土間」のある町家です。

間口に対して奥行きが深い敷地のため、中庭の窓から光と風を取り込み、外部からはプライバシーを守る、町中の暮らしにふさわしい住まい。

建物が通りに対して縦長になるため、玄関から中庭を眺めながら土間を通って居室へ。中庭の光あふれる自然や「通り土間」を楽しむライフスタイルです。

町家

町家

「雨楽な家」は木の柱を見せて壁を漆喰で塗る真壁造りのため調湿力に優れ、室内の湿度は1年中約50%から60%を維持。

中庭には空気を上昇させる「煙突効果」もあり、中庭や土間に面した部屋の通風を良好にします。

「雨楽な家・町家」は採光と通風のための工夫が随所に施され、しかも木や漆喰が季節に合わせて室内環境を調整してくれるというわけです。

市街地の家づくりにはさまざまな工夫が必要

江戸時代の京都では、通りに面する間口の幅で税金がかかる「間口税」があったため、間口が狭く奥行きの深い町家が増えたといわれます。

現代では都市部にも空き家や商店の廃業が増え、その建物を相続や購入で取得した人が建て替えるケースも。

市街地は利便性が高い反面、隣家との距離が近いため、家づくりにはさまざまな工夫が必要です。

光と風を取り込み、真壁造りで調湿力を活かした先人の知恵。それに加えて、塗り替えを格段に省力化する外壁材などの現代の技術により、町家の魅力はさらに高まりました。

市街地の空き家対策や町の活性化に、「雨楽な家・町家」がお役に立てば幸いです。

土間リビング