ガラス越しに大空へつながる開放感
今回は透明の窓ガラスのお話です。室内に太陽光を届けてくれる窓ガラスですが、日本で窓ガラスが製造されてから、わずか110年ほどしか経っていないことをご存じですか。それ以前の日本の住宅では、和紙の障子が窓ガラスの役目をしていました。
写真はリビングのコーナーをガラス張りにしてウッドデッキと一体化した「雨楽な家」。柱と筋かいと床板は桧、天井は杉のぜいたくな空間。はるか遠くには緑の山並み。光や視界をさえぎりたいときはロールスクリーンをおろします。
16世紀にポルトガルのザビエルがガラスの鏡を伝えて以来、日本でも「びいどろ」「江戸切子」などのガラス工芸品が作られました。しかし、建物の窓に板ガラスが使われたのは明治維新後のこと。しかも板ガラスは貴重な輸入品でした。
少しゆがみのあるレトロな板ガラスが日本で生産開始されたのは1909年、明治42年のこと。そして、ゆがみのない平らな板ガラスが生産可能になったのは1960年頃、わずか60年ほど前のことだとか。
写真はリビングの吹き抜け越しに上を見上げたところ。太い梁の構造美、大空へ視界が抜ける開放感。青空ひとり占め。心の広い人になれる気がして、背のびしたくなる気持ちよさです。