和にも洋にも調和する漆喰壁
ユネスコは12月、日本の「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を「無形文化遺産」に登録することを決めました。左官職人や宮大工が古くから継承してきた17分野の技術の価値が世界的に認められたわけです。
17分野とは木工や左官、瓦屋根や茅葺き屋根、建具や畳の製作などであり、木や草、土といった自然の素材を活用し、日本の伝統的な建築文化を支えてきたものです。
そこで今回は、17分野の一つである「左官」の漆喰壁についてお話します。「雨楽な家」の内壁はビニールクロスを使用せず、漆喰の塗り壁を基本としています。
なぜビニールクロスを使用しないのか。それは防腐剤などの有害な化学物質が含まれた材料を使わず、自然界にもともとあった天然の素材で家をつくりたいからです。
日本には左官という優れた伝統技術をもつ職人がいます。なで、押さえ、磨き、あらしなど、コテの使い方、左官の腕ひとつで、様々な質感をつくり出すことができます。
現場では建主の家族が左官の指導で漆喰塗りの体験をしたり、記念の手形を付けたりすることもあります。子どもの小さな手形は、末永く思い出に残るモニュメントになりますね。
漆喰壁には室内の湿度を調整する働きがあります。
梅雨どきや夏場は湿気を吸い取ってくれるので、
空気はさらっと快適。押入の除湿剤も不要です。
「冬も室内が乾燥せず風邪をひきにくくなりました」と
いう声を入居者の方からよく聞きます。マンション等で
冬によく見られる窓ガラスのいやな結露もありません。
漆喰壁は防火性や耐久性に優れているうえに
カビ、ダニ、ホコリが付きにくいのもメリットです。
ザラッとした本物の質感と主張しすぎない白さは
和の空間にも洋のテイストにもやさしく調和します。
漆喰壁に包まれた住空間で温もりを感じながら
四季を通じてさわやかに暮らしたいものですね。