列柱の立ち並ぶ大空間

列柱

奈良の唐招提寺の金堂に立つ列柱です。唐招提寺は、苦難の末に来日した唐の鑑真によって8世紀後半、奈良時代に建てられた寺院です。

金堂の正面に直径2尺(約60㎝)の木の円柱が8本、立ち並んでいます。柱の中央部分にわずかな膨らみのある「エンタシス」の列柱です。

エンタシスは視覚的な安定感を生むための技法で、代表的な建物はギリシャのパルテノン神殿。紀元前400年代に建てられました。

日本建築とは異なり大理石の柱ですが、正面に8本の円柱が並んでいます。古代ギリシャの文化がシルクロードを経て、日本に届いたことがわかります。

列柱

桧の列柱を見て触れて味わって

時代は一気に令和へ。こちらは「雨楽な家」のリビングです。円柱でもエンタシスでもありませんが、桧の列柱が存在感を見せています。

♪柱の傷は おととしの 五月五日の背くらべ♪
大正時代につくられた歌ですが、当時は多くの家で幼い子どもの成長を願い、木の柱に背丈を記した印があったとか。実家には柱の傷が今でもあるのでは?

昔から木の柱に特別な思いを寄せてきた日本人。木の柱を壁の中に隠さず、眼で見て、手で触れて、香りを味わう。そんな暮らしもいいものです。

列柱