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10月は木材利用促進月間

木材利用促進月間

大阪・関西万博も残りわずか。シンボルとなった「大屋根リング」は世界最大の木造建築物としてギネスに認定され、日本の木造建築の魅力を世界に発信すると同時に、「こんなに大きい木造建築がつくれるんだね」と、木材の潜在力や木造建築の高い技術力を再認識させてくれました。

さて、2022年施行の通称「都市(まち)の木造化推進法」において、広く木材利用の促進について関心を深めるため、漢字の「十」と「八」を組み合わせると「木」という字になることにちなんで、10月8日を「木材利用促進の日」、10月を「木材利用促進月間」と定められました。というわけで、今回のテーマは「10月は木材利用促進月間」。

10月は木材利用促進月間ということで、大阪・関西万博で木材利用に大きく貢献したパビリオンを振り返りましょう。こちらの画像はバーレーン館の側面で、木組みが水面に映り込んでいます。建築には日本の木材と木工技術が活用され、いきいきとした木の力に感動しました。

バーレーンは、アラビア半島の東のペルシャ湾に位置する島国で、海洋交通の要衝であり、西隣のサウジアラビアとは巨大な海上道路でつながっているそうです。パビリオンのテーマは「海をつなぐ―五感で巡る旅」。伝統的な木造の交易船「ダウ船」をモチーフにした木造建築で、海を進む帆船の力強さを実感できます。

木材利用促進月間

木材利用促進月間

こちらの画像はポーランド館です。美しい幾何学模様の木組みの外壁が曲線を描きながら、らせん状に連なって、個性的な意匠を見せています。日本の木組み技術が活かされ、主に鹿児島県産の杉を加工した集成材が組み上げられたそうです。外観をひと目見ただけで、木材の温もりが感じられ、クッキーで作られた「お菓子の家」のようにも見えました。

ポーランドは東ヨーロッパの中央部にあり、北はバルト海に面しています。パビリオンのテーマは「ポーランド。未来を切り拓く遺産」。ポーランドはショパンなど著名な音楽家を多く輩出した国で、パビリオン内にはコンサートルームもあり、ショパンのピアノ曲や自然を楽しむ展示も行われました。

 

大阪・関西万博では、2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」と比べ、確実に木造や木質系の建築が増えました。2010年には「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定され、この20年間で「木材利用」への関心は大きく広がったと感じます。

 

2000年に「雨楽な家」が誕生し、今年で25年になりますが、「大阪・関西万博」で木造建築に対する理解と関心の高さを実感できたことはうれしい限りです。

 

木材利用促進月間

ここからは万博を離れ、この画像は大阪府吹田市にある千里山・佐井寺図書館の西館です。これとほぼ同じ建物が同じ場所に昭和4年に建築された当時は、千里第二尋常小学校の校舎でした。昭和16年に千里第二国民学校と改称され、戦後の昭和22年に千里第二小学校と改められました。

その後、児童数の急増とともに、同一敷地内に鉄筋コンクリート造の新校舎が次々に建築されたため、その木造校舎は役割を終え、老朽化で解体されるはずでした。

ところが、「思い出がいっぱい詰まった私たちの木造校舎を後世に残して欲しい」という地元の人々の声が高まり、「鉄骨造で新築」という市の提案もはねのけ、結果的には昭和4年当時とほぼ同じ意匠の木造建築で平成15年(2003年)に建て替えられ、千里山・佐井寺図書館の西館として復元されたのです。

地元の人々による旧木造校舎の記憶が、解体+復元という理想的な形で未来に継承されました。集成材による木造瓦葺2階建です。旧校舎の教室の床板、壁板、天井板、教壇などを洗いにかけて再利用した復元教室もあり、幼児のおはなし会などに活用されています。懐かしい木の机と椅子もあり、地域に開かれた図書館として地元にしっかり根付いています。

旧校舎で使われた階段の手すりなどの部材も再利用されています。ガラス窓は当時の面影を残す木製ですが、窓枠はアルミ製に。旧校舎の玄関先を飾った石の門柱も残されました。下見板張りの外壁に瓦葺き屋根のこの建物は、平成17年(2005年)に大阪都市景観建築賞の特別賞を受賞しました。

木材利用促進月間

玄関横の大きなクスノキは、道路拡張工事の際に伐採が予定されていましたが、地元の熱い声を受けて残されました。幹まわり305センチ、高さ22メートル。木造校舎の変遷を見守ってきた大クスノキが歴史の証人となり、未来へとつながりました。

木材利用促進月間

 

さて、10月は「木材利用促進月間」です。
木材利用を促進するために、「ウッド・チェンジ」を合い言葉に
「木づかい運動」が広く展開されています。子どものおもちゃは木製がお勧め。
ファストフード店では、これまでプラスチックであったスプーンやフォークなどを
木製に変える店が増えてきました。

 

身のまわりのものを木製に切り替えたり、木を暮らしに取り入れたり
木造や木質化された建築物を活用したりすることによって
森林資源の循環利用が促進され、CO2の排出が抑制されます。

 

木材を利用するメリットは、環境への貢献だけでなく、住まいの安全安心や
心身のリラックスなどにも効果を発揮しています。身近なものをできるだけ
木材に変えて、心豊かに健康的に暮らしたいものですね。

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