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住宅の制振装置に性能区分がはじまる

地震の多い日本では、長期優良住宅の普及に伴い、住宅に対する地震対策の
意識が高まり耐震性能(耐震等級)を上げて新築を検討される方が増えています。
最近では制振装置を取り付けて地震に備えたいという方も増えてきたようです。
この制振装置は、筋交いや耐力面材などの耐力壁とは異なり、地震などの揺れによる
振動エネルギーを吸収して減衰させるための構造部材で、建物の揺れを抑えることで
耐震性能を向上させる役割を果たします。

 

現在、制振装置の販売メーカーは約30社以上あり、発売されている商品も50を超え、種類も多彩です。

 

●粘弾性ゴムダンパー(粘弾ゴムなどを利用)
●オイル(油圧)ダンパー(油や特殊液体を利用)
●鋼材(金属)ダンパー(振動による熱エネルギーを利用)
●摩擦ダンパー(摩擦力を利用)

 

などの装置は各社が自社で実験やシミュレーションによって性能判定を実施しています。
そのため商品の比較が難しいことが課題でした。

 

そこで2024年7月に科学的根拠に基づいた設計指針や標準的な手法を示す「住宅制振設計マニュアル」が発行されました。

制振装置

 

制振装置

●オイル(油圧)ダンパー

この「住宅制振設計マニュアル」では、まず制振壁を、住宅制振性能マニュアルに従い試験し制振性能を満たした壁と定義付けています。
そのうえで、制振装置を性能別に区分1~3の3つに分けています。
各社ともこのマニュアルを元に性能確認試験を実施し、自社商品を区分分けしていくので、今後、制振装置の性能比較が明確にできるようになってきます。

制振装置

制振装置

●鋼材(金属)ダンパー

<各区分の定義>
区分3
2階建木造住宅にX、Y方向それぞれ2~3基、計6基以内で減衰性能が得られる制振材
区分2
2階建木造住宅にX、Y方向それぞれ6基以内、計12基以内で減衰性能が得られる制振材
区分1
減衰性能が低く、筋交いなどの耐力壁と比較して優位性を持たない制振材

 

区分3がもっとも性能の高い制振装置となります。

 

<目標性能>
「住宅制振設計マニュアル」では制振装置の目標性能を大地震時(震度6強~7程度)の
建物変形角を1/75radに抑えるとされています。これは階高3mの住宅で4cmの傾きとなり、
大地震の時でも住宅の損傷を極力抑えることで地震後も補修して
継続使用できるようにすることを目標としているようです。

 

ちなみに建築基準法の耐震への考えは、大地震(震度6強~7程度)の際の
変形角1/30~1/15rad(階高3mのとき10~20cmの傾き)とされているため、
制振装置を付けることで揺れをかなり吸収することがわかります。
このことから制振装置は耐震性能の高い住宅に対する補足材となるので、
先ずは耐震等級3で十分な耐震性能を確保した上で設置することをお勧めします。

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