雨楽な家BLOGBLOG
障子のシンプルモダンと遊ぶ
風薫る五月。こいのぼりが青空を泳ぎ、若葉が萌える新緑まばゆい季節。冷暖房のいらない今は窓を大きくあけて、みどりの風を入れたくなりますね。
「雨楽な家」の土間と和室の境の障子をはずすと、満月みたいな明り障子と奥に地窓が見えます。茶室によく見られる丸窓は和の空間に変化をもたらし、情緒をただよわせます。
「おもてなしの心」が感じられる和のたたずまいですね。
というわけで、今回のテーマは「障子のシンプルモダンと遊ぶ」。
障子は直射日光をさえぎり、半分ほどの陽光を通過させ、柔らかく拡散させて室内を均等に照らします。ガラス窓のなかった昔は障子がガラス窓の役目を果たしていました。
断熱性や調湿性に優れた和紙は自然の空調機能も持っています。漆喰壁の高い調湿性と相まって、湿気の多い季節も室内はサラリさわやか。
障子の格子状の組子(くみこ)と白い和紙の織りなす幾何学的な美しさは空間を引き締め、シンプルモダンな味をかもし出します。それが、和室だけでなく欧米のインテリアにも障子がフィットして世界の人々に愛される理由のひとつですね。
こちらは「雨楽な家」の2階の和室ですが、柱も梁も奈良県の吉野杉を採用。吉野杉は通直で木目が細かいため、江戸時代には酒樽として重宝されました。建築材としても強度が高く香りが良く、時の経つにつれ飴色に変わり味わいを深めてゆきます。
こちらの「雨楽な家」の和室には地窓がふたつ。地窓とは床面に近い低い位置の窓のこと。床座から庭の草木を眺めたり、光や風を感じるための窓ですが、今では洋室にも地窓が人気です。
窓をあけると床を風が通り抜けて自然換気が行われ、省エネ効果が期待できます。エアコンも扇風機もない昔は、夏に涼風が走り抜けるだけで歓声があがりました。
「涼風の曲がりくねって来たりけり」これは江戸時代後期の俳人、小林一茶の夏の一句。やっと来てくれた涼しい風のありがたさがにじみ出ていますね。
障子は素朴で優美。上品で豊かな表情を魅せてくれます。欧米の人々にも支持されている障子を新しい感覚で暮らしに採り入れて、シンプルモダンを楽しんでみませんか。